|
Arcusの弓ができるまで
Arcusの弓のスティックはすべて、オーストリア・クラーゲンフルトにある弊社の工房で製作されます。
カーボンファイバーは直径が小さく壁厚も薄いので、取り扱いには精密と慎重を極めます。まず、エポキシ樹脂を浸み込ませたカーボンファイバーシートを非常に正確に切断します。切断したシートはしわにならないようピンに巻きつけてカーブを付け、次に鋳型にはめ込みます。ヘッド用のシートを別に製作して、これも鋳型に入れます。鋳型を閉じてから数時間かけて、高温高圧下でスティックを融合します。弊社が開発したこの方法は、カーボンファイバー複合材の有用性をはるかに広げることになりました。
成形を終えた後、鋳型をゆっくりと冷却し、スティックを取り出します。繊維は完全に融合し、スティックの基本形ができ上がります。成形前の段階で少しでも不具合があればこの時点で明らかになりますが、それから形やカーブを修正することはほとんど不可能になります。
成形したスティックの表面をきれいにし、仕上げ面の品質と強度、そしてサウンド・プロダクションをテストします。その結果に基づきスティックを4種類に選別します。この厳しい選別基準に満たないスティックは、この時点で処分します。
カーボンファイバーの硬度はきわめて高いため、スティックの仕上げには慎重な手作業が必要となります。まずスティックを磨き、表面を十分滑らかにします。次に、チップ、ブロンズ製軸受けを装着します。


スティックをヤスリがけし、サンドペーパーでこすり、さらに磨いて、表面の小さな傷を慎重にならしていきます。ヘッドの形を整え、Arcus社のロゴと製造番号を刻印します。
最後に巻線とサムグリップを巻きつけ、弓毛とフロッグを取り付けます。弓毛には、高価な最高級品のみを使用しています。弊社の工房では二度にわたり弓毛を審査し、ほつれなどを取り除きます。ヴァイオリンとヴィオラの弓にはモンゴル製の最上級品を使用し、チェロとコントラバスの弓には特に強度に優れたカナダ製のものを採用しています。


仮に製造工程を省略したとして、重く強度の低いスティックができ上がっても、Sonataモデルよりも若干サウンド・プロダクションが劣る程度で、しっかりした品質のものはできます。しかし最高の音質と演奏性能を追及する弊社は、他社にはない独自の方法で素材を厳しく吟味しています。先端技術を駆使した弓づくりをしておりますので、Arcusの弓ひとつひとつが独自の個性を持っています。カーボンファイバーの微細な位置の違いや加工段階のほんのわずかな差によっても、スティックの性質が大きく異なってくるのです。Arcusの弓がそれぞれ独自の使用感や音質を持っているのはこのためなのです。


さらに、加工段階はすべて手作業で行っていますので、スネークウッド製フロッグの模様はもとより、ヘッドの形状、スティックの表面、重量、バランスも弓によって違います。
トップ
|